計測システム工学研究室

概要

計測とは

計測は、「ものをはかる」ことです。といっても、「あの木は大きい」という表し方もあれば、「あの木の高さは10mだ」という表し方もあります。 計測で言う、はかる(測る)とは、基準となるものに対する相対的な数値を求めることで、先の木の例では、後者が該当します。 ここで、基準となるものを単位と言います。 単位にはm, kg, s, Aなどがあり、単位をまとめたものは単位系と呼ばれています。 現在、世界で広く使われている単位系SIは1960年にその名称が国際的な計測の組織(国際度量衡総会)で採択されました。 しかし、基準に対する相対的な数値を求めること自体は、古代ギリシャあるいはそれ以前から行われており、計測は大変長い歴史を持っていると言えます。 科学技術が発達した現代では、非常に小さな量、例えば電子1個を計測することも、非常に大きな量、例えば(条件が整えば)恒星の質量を計測することもできるようになりました。 ところが、現代の科学技術をもってしても、計測が十分にはできていないものがあります。 それは、私たち自身です。 私たちが外界から得られた情報をどんな仕組みで処理・判断し、考えて行動につなげているのか?いまだに謎が多く、計測の大きな対象の一つなのです。

研究室の目的

計測システム工学研究室の研究対象は、私たちです。 私たちの意思、私たちの存在、私たちの動きを計測し、解析して、コンピュータやロボットに適切に指示することにより、高齢になったり、病気やけがで体が不自由になったりしても、私たち自身の日常生活動作 (Activity of Daily Living; ADL) を改善すると共に、生活の質 (Quality Of Life; QOL) を高めて、楽しく一生を送れるようにする。 それが本研究室の目的であり、我々の願いです。

基本情報

研究室スタッフ准教授・西藤聖二、講師・中島翔太
専門分野脳計測科学、センサ工学、生体医工学、福祉工学
研究テーマ人工知能による脳波インターフェース、言語課題による α波の操作と意思表現、食事支援ロボット、プライバシーを保護した見守りシステム
研究キーワード計測システム、信号処理、ブレインマシンインターフェイス、 知的センシング、医療福祉、画像処理
研究室ホームページ

研究紹介

脳とコンピュータ・ロボットをつなぐインターフェースに関する研究

脳波を変えることにより、自らの意思を、コンピュータを介して他者やロボットに伝えるブレインコンピュータインターフェースの研究を行っています。 神経系の病気や事故によって運動機能を失った方にとっては、ことばや動作に代わる重要な手段であり、脳波を自在に変えるために、世界中で様々な方法が試みられています。 当研究室では、音や振動による刺激を複数提示し、その一つに注意を向けるときの脳波の変化や、精神作業に伴うα波の変化に着目して、人工知能や機械学習の技術を用いて意思を判別する研究を行っています。

脳とコンピュータ・ロボットをつなぐインターフェースに関する研究

プライバシーを侵害しない見守りに関する研究

プライバシーに配慮しつつ、人物の状態を検知可能にするセンシングシステムの研究を行っています。 高齢者の生命に関わる重大な事故が発生する場所としては、トイレや浴室が挙げられますが、このような場所にはプライバシーの観点からカメラを設置することができません。 開発したセンシングシステムで取得する情報は、一次元の輝度分布情報のみであるため原理的にプライバシーを侵害することはありません。 本研究では、カメラの設置を控えていたような場所でも気兼ねなく設置できる見守りシステムの実現を目指しています。

プライバシーを侵害しない見守りに関する研究

食事支援ロボットに関する研究

上肢の障害が原因で自力での食事が困難な方が、好きな食べ物を好きなタイミングで食べることができるような支援を行うロボットの設計、制御の研究を行っています。 これを実現するために、RGB-Dカメラ等で得られたデータをDeep learning等の人工知能(AI)により食べ物の種類や状態を認識し、箸やスプーンを自動制御して食べ物を掴んだり切ったりして口元へ運ぶロボットの研究開発を行っています。

食事支援ロボットに関する研究