パワーエレクトロニクス研究室
概要
パワーエレクトロニクスで環境問題解決に貢献
1960年代後半から、ダイオードやトランジスタなどのパワー半導体デバイスの大容量化が進み、制御のための電子工学の進歩に伴って、電力の制御技術が急速に進展しました。 1974年に、W. E. Newell氏がパワーエレクトロニクスは電力工学と電子工学、制御工学の技術が融合したものとして提唱し、定着しました。 パワー半導体デバイスを用いることで電力の形態を自在に変えることのできるパワーエレクトロニクスは、電気自動車や新幹線のモータの駆動および制御、照明器具やACアダプタなどの電源に広く利用されています。 本研究室では、送配電線の電力損失低減や電力品質保証に有効なパワーエレクトロニクス回路の制御技術や効率よく再生可能エネルギーを発電、利用するためのパワーエレクトロニクス回路の制御技術など、CO2の削減に貢献できる技術の研究を行っています。
学生が主体的に研究に取り組む研究環境
学部4年生から原則、一人一テーマを与えて、計算機シミュレータでのパワーエレクトロニクス回路の動作検証や実機の構築など主体的に研究に取り組みます。 毎月1回の研究報告会でプレゼンテーションを行い、得られた研究成果を学生自身により国際会議で発表し、学術論文として投稿します。 また、学外の企業と積極的に共同研究を行っています。

の様子
基本情報
研究室スタッフ | 准教授・山田洋明 |
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専門分野 | パワーエレクトロニクス |
研究テーマ | 電力品質保証機能を有する電気自動車用スマートチャージャ、SiC-MOSFET高周波インバータを用いた微小金属検出法、MMCを用いた複数発電機を有する風力発電システム、産業用LED照明駆動電源 |
研究キーワード | パワーエレクトロニクス、スマートチャージャ、アクティブフィルタ、電力品質保証、再生可能エネルギー、エネルギーハーベスティング、LED照明 |
研究室ホームページ | http://pelab.eee.yamaguchi-u.ac.jp/ |
研究紹介
電力品質保証機能を有する電気自動車用
スマートチャージャ
火を使うと酸素を消費し二酸化炭素を排出するのと同様に、我々が電気を使用すると無効電力や高調波といった廃棄物を排出します。 これらを補償し電力品質を保証する必要があります。これまで、“電気をきれいにする機能”を有するスマートチャージャの研究をしています。 右図に研究してきたスマートチャージャを示します。 電源の3本の線のうち、上側と下側の電流がアンバランスで、さらに歪んだ電流となると柱上変圧器の効率が悪くなります。 スマートチャージャを用いて電流をバランスさせ、電圧と同じ波形とすると、柱上変圧器の効率を改善できます。

Dual Active Bridgeコンバータを用いた高速消灯機能を有するLED照明駆動電源
集魚灯や舞台演出用などの産業用LED照明では、広範囲の調光や高速消灯が必要となります。 一方で、LED照明のちらつきを防止するためにLED照明に流れる電流が変動しないように大容量のキャパシタを接続していますが、消灯時の残光が課題となっていました。 本研究では、双方向の電力伝送が可能なDual Active Bridgeコンバータを用いたLED照明駆動電源を提案し、実験装置を研究室で構築して試験を行い、点灯時はLED照明へ電力を送り、消灯時はLED照明側のエネルギーを電源側へ回生させることで従来の1/10の消灯時間を実現できます。
